上の図はチェルノブイリ原発事故後20年間の甲状腺ガンの10万人あたりの発症数である。
Cancer consequences of the Chernobyl accident: 20 years on
J Radiol Prot. 2006 Jun;26(2):127-40
この有名なグラフについて、私の思う事。
まずベラルーシの事故後からの基準値の変遷を頭に焼き付けて頂きたい。
http://associations.jp/wp/wp-content/pdf/SAGE_.pdf
ベラルーシの首都ミンスクにある民間の研究機関:ベルラド放射能安全研究所 The Institute of Radiation Safety "BELRAD"のネステレンコ教授の論文 p.17の表
ワシリー・ボリソヴィチ・ネステレンコ і́ль Бары́савіч Несьцярэ́нка
その上で、小児甲状腺がん(14歳以下)の放射線核種と関連について、
8日間の半減期を過ぎた明らかな原因であるヨウ素はともかく、セシウム134および137について、
これは、「小児」甲状腺がんとの関連性はないという意見が見受けられる。
私はこれに疑問を感じます。なぜなら、この図とベラルーシの基準値を見て言えること、、、
・(Adolescents15-18歳)のグラフから⇒事故直前に生まれて、直後の基準値の緩い中で、被曝した母の母乳や粉ミルクで育ち、10歳くらいまで、即ち1996年までの非常に緩い基準値で生活してきた子どもが、5年後の、2001年に、15-18歳になり、ピークに達している。
・(children0-14歳)のグラフから⇒事故直後に生まれた子供は、汚染された親からの母乳やミルクで育っている子どもは、発病したと見れる。
しかし、1996年以降、基準値が厳しくなってから生まれた、またはその直前くらいに生まれた子どもの発症はすくないと見て取れる、つまり、小児甲状腺がんの発症例は少ないが、これは、ヨウ素が半減したからだけでなく、文字通り、基準値が厳しくなり、セシウムの体内摂取・体内蓄積が減ったから、または母親が食事に、そして農家と流通市場が食料検査を厳しくした成果ではないだろうか。
・(Adults19-34歳)のグラフから⇒事故時に、すでに19歳-34歳の人は、なかなか増加はしないが、事故後10年以上たってから、増大し始め、まだピークを迎えていない。これからピークを迎えるのであれば、成人は、放射線核種(たとえセシウム以外のものにせよ)が長期間蓄積してから、発症するのだと考えられる。また10代初めから思春期を基準値が緩い時代に過ごした人が、5年後くらいから発症しているとも見て取れる。
成年に対しては、明らかに、ヨウ素以外の原因で、甲状腺がんが発症したといえる。
たったこのグラフからでも、ヨウ素のみとは断言できないと思います。
NPOチェルノブイリ医療支援ネットワーク様の2011年どの報告を拝見し、
若干の甲状腺について悪性の子どもの患者さんがいらっしゃるようです。
事故が終焉して、26年もたち放射性ヨウ素の影響はなくなっていると考えてしまうのですが、
いかがでしょうか(つまり、セシウムはやその他の放射性物質の影響)
以上から、子供の甲状腺がんだけが、セシウムと関係がないというのは、予防原則から受け入れることはできないと思います。