Rudolf Borchardt Archetypal plant 原植物についての記述より
ドイツの詩人・園芸家であるボルヒャルトは、次の賛辞をゲーテJ・W・Goetheに捧げています。
苗や鉢植えから育てるのではなく、すべて種子から育てたそうです。
こう述べています。
それゆえ、彼は詩人として、花摘む人を、花を贈る者を、花を招来する庭師を、
花を洞察する研究者を、一身に兼ねていたのであった。
花を洞察する研究者を、一身に兼ねていたのであった。
ゲーテは力強い詩句と無気味なほど的確な散文に植物の外観的特徴を描写し、
神々の肖像と同様花々の肖像に感情と心情とを簡潔に美しく表現し、
神々の肖像と同様花々の肖像に感情と心情とを簡潔に美しく表現し、
プラトーンの思想神話以来、世界が夢想できたこよなく壮大な夢のひとつを、
原植物(Die Urpflanze; archetypal plant)に、夢見ていた。
原植物(Die Urpflanze; archetypal plant)に、夢見ていた。
自由という情熱的な無秩序のもたらす痛みを知り、
その時、洞察の苦痛に対し希望をもたらすことこそ、詩に残された使命であった。
(詩という)不死性のみが、死すべきものさだめから分離できる。
その時、洞察の苦痛に対し希望をもたらすことこそ、詩に残された使命であった。
(詩という)不死性のみが、死すべきものさだめから分離できる。
ゆえに花は人間のために咲く。運命が詩人をどの時代に配そうと、
この二つの概念(花と詩)は一体となって常に詩人に現れてくるだろう。
Der Leidenschaftliche Gaetner」by Rudolf Borchardt
なかなか小難しい内容ですね・・
植物と人間は、もともと生物の進化の段階で、一緒であったこと、後に
Rudolph Steinerルドルフ・シュタイナーが、触れていますが、
おそらく、ゲーテもその時の形態を、原植物を想像しながら感じていたのではないかと思います。
植物の炭素同化機能は、人間も肝臓に同じ機能を持っています。
人間は飽食で、外からのグリコーゲン摂取に「依存」していると、
低血糖症、自らグリコーゲンを自給する能力を失う結果となり、
ミトコンドリアのATPエネルギーを産生できません。
外宇宙にあるものは、内宇宙にもあるということですね。
花(植物)と人間が、後に分離して、別々の道を歩んでいますが
お互いに、過去、一体であったときのことを思い出して、
一般の人は、花を活け、育て、そして贈りたくなり、
アーティストは花について詩を書き、曲を書くということなのでしょう。
それは、単に情緒の問題ではなく、quantum entanglement量子のもつれが
進化と分離の中を重ねても、万物の間で存在しているということだと思います。
音楽家はその「詩」が詠まれてなければ、歌をつくることもなく、
「花」がそもそも野に咲いてなければ、詩をつくることもありません。
「花」がそもそも野に咲いてなければ、詩をつくることもありません。
東北の災害の地で多くの花が手向けられているのを目にしました。2011年 7月16日
ヴィクトル・ユーゴー (バラ品種名)
Victor Hugo
Victor Hugo
「ヨーロッパ、その文化の炬火(たいまつ)は、まずギリシャによって担われ、ギリシャはそれをイタリーに伝え、イタリーはそれをフランスに伝えた。文化の量は想像力の量によって測られる。文化の普及者たる民衆は、愛好者であっても堪能者であってもいけない。ただ芸術家でなければならない。」
-、第四巻p260 豊島 与志雄訳
Les Miserables「レ・ミゼラブル」第4巻
~1832年6月6日の午前11時ごろ、人影のないリュクサンブールの園は
麗しい様を呈していた。
五目形に植えられた樹木や花壇の花は、日光のうちに香気や眩惑の気を送り合っていた。
真昼の光に酔うた枝々は、互いに相抱こうとしているかのようだった。
花壇のうちには、百合の花が、もろもろの花の王らしく咲き誇っていた。
それも至当である、香気のうちにて最も尊厳なるものは純白の発するかおりである。
チューリップの花は日の光を受けて、金色に紅色にまたは燃ゆるがようになり、(略)
豊かな光にはなんとなく人の心を安らかならしむるものがあった。
また雨が降ったために一握の塵埃(じんあい)もなかった。
あらゆる種類のビロードや繻子や漆や黄金は、花の形をして地からわき出で、
一点の汚れも帯びていなかった。壮麗であるとともに瀟洒(しょうしゃ)であった。
楽しき自然の沈黙が園に満ちていた、巣の中の鳩の鳴き声、群蜂の羽音、風のそよぎなど
無数の音楽が聞こえていた。ライラックの花は終わりに近ずき、素馨(ジャスミン)の花は咲き初めていた。鈴懸(すずかけ)は新しい樹皮をまとっていた。マロニエのみごとな木立は微風に波打っていた。近くの兵営の一老兵士は、鉄門から園の中をのぞいて言った、「正装した春だ。」